樋口高顕/ひぐちたかあきです。
6月23日、令和4年第2回区議会定例会にて、招集挨拶を行いました。
挨拶に入る前に、去る6月5日、齢54歳の若さで帰らぬ方となられました、鵜飼友義 議員に謹んで哀悼の意を表しました。誠に痛恨の極みであり、残念でなりません。
本会議場で黙祷を捧げ、千代田区議会 岩佐りょう子 副議長から追悼の言葉がございました。
生前における卓越したご手腕、あふれる人間性、強い正義感をもって区政に尽くされたそのご功績に心からの敬意を捧げます。職員一同、生前いただきましたご厚情に心より感謝し、謹んでお悔やみ申し上げます。
招集挨拶では、下記5点を述べさせていただきました。
- 千代田区制75周年。ウクライナ避難者へ寄り添う対応
- 新型コロナ対策
- 4回目接種の円滑な体制と武田社ワクチン・ノババックス
- 保健所業務の効率化、新たな患者情報管理システム
- ちよだスマートスクールで「学びの継続」
- (仮称)第4次基本構想の策定へ
- 伝統とモダンがとけあい、未来に躍進するまち-彩りあふれる、希望の都心-
- 首都直下地震、新たな被害想定に際して災害対策の強化
- 神田警察通り道路整備工事の再開
以下、抜粋してお伝えします。なお、当日の様子はインターネット配信もされており、こちらにて招集挨拶を全文掲載しております。あわせてご覧ください。
<1>千代田区制75周年。ウクライナ避難者へ寄り添う対応
今年、麹町區と神田區が合併し、千代田区の誕生から75周年を迎えました。これを記念して、75年前の昭和22年に発行された千代田区の地図を再現・復刻した「区制75周年記念マップ」を製作したところ、多くの反響をいただいたことから、急遽、6月5日号の広報紙の付録として全戸配布しました。
区制が敷かれた昭和22年は、敗戦による連合国軍の占領下にあり、区民の多くは日々の生活に困窮しながらも、戦後復興を目指し、千代田区として新たなスタートを切った記念すべき年でありました。激しい戦禍を経験された先人たちの希求した平和への思いは、しっかりと受け継いでいかなければならないと再認識しているところです。
一方、世界に目を転じますと、去る2月24日に開始されたロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、4か月が経過しようとする現在も、激しい戦闘が続いています。
本区は事態の発生を受け、3月4日には、議会のみなさまとともに「国際平和都市千代田区宣言」のもと世界の恒久平和を実現するための行動として、ロシアの暴挙に対する抗議を表明いたしました。
区HP:「ロシア連邦のウクライナ侵略に対する抗議(2022年3月4日)」
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/bunka/hewa/roshia-ukurainashinryaku.html
戦禍から命を守るために、母国ウクライナを離れ、他国へと避難する方が後を絶ちません。本区では、こうした避難者に対し、通学先の確保をはじめ、日常生活の支援や相談窓口の設置など、人道的観点から、一日も早く安定した生活が送れるよう、お一人おひとりに寄り添う、適宜適切な対応を図っております。
区HP:「ウクライナから千代田区に避難される方の相談窓口を設置しました One-Stop Inquiry Desk for the Ukrainians has newly organized」
https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/bunka/hewa/ukraine-sodammadoguchi.html
一方で、安全保障情勢に大きな変化が生じてきているほか、原油やガス、小麦の価格高騰など、私たちの生活にまで影響が及んでいます。
私は、令和4年度当初予算の考え方でも申しましたとおり、お互いが触れ合い、理解し合う、「多様性と包摂」の気持ちを持ち、区民のみなさまのご理解とご協力をいただきながら、本区としてできることを一つひとつ積み重ね、平和な社会の維持発展に向け、今後も努力してまいる所存です。
<2>新型コロナ対策
○4回目接種の円滑な体制、武田社ワクチン・ノババックス
感染拡大は、今年の1月に激増した後、緩やかな減少傾向に転じておりますが、現在も、区内の感染者数は週あたり93人(6月13日から19日)で、今後も予断を許さない状況が続いています。
さらなる感染防止対策として、6月1日から区民へワクチンの4回目接種を開始いたしました。60歳以上の方および基礎疾患のある18歳から59歳の方を対象に、3か所の集団接種会場と約60か所の個別接種会場を設け、集団接種会場への移動手段として、タクシー送迎を実施するなど円滑な接種体制を整えております。加えて、7月より、新たに武田社ワクチン・ノババックスの接種を開始いたします。
○保健所業務の効率化、新たな患者情報管理システム
一方で、政府は、外国人観光客の受入れ再開など水際措置の緩和をはじめ、社会経済活動を再開させていく方針をとっております。千代田区としましても、地域経済の再生のために、これまで得られた知見を活かしつつ、社会経済活動の再開を進めていかなければならないと考えております。
そのためには、想定される第7波の感染拡大に対して、増大する発生届や自宅療養者への健康観察、療養ステータスなどの患者情報を管理し、療養終了までの支援の強化や業務を効率化するために、新たな患者情報管理システムを導入するべく準備を進めております。
また、感染拡大時の逼迫する保健所業務の応援体制をはじめ、区民向けの重症病床および中等症病床の確保、感染状況に迅速に対応できる医療体制など、さらなる強化に取り組んでまいります。
○ちよだスマートスクールで「学びの継続」
他方で、コロナ禍を一つの契機として、子どもたちの学びのためのICT環境の整備にも積極的に取り組んでおります。区立小・中学校、中等教育学校においては「ちよだスマートスクール」を策定いたしました。
感染症対策においても、ICT環境と一人一台端末を活用し、感染不安等により登校できない児童・生徒や、学級閉鎖、濃厚接触者に指定されて出席停止になっている児童・生徒等に対しても、オンライン等を活用した学びの継続をサポートするなど、登校における対面指導と家庭におけるオンライン学習等を組み合わせて実施しております。
<3>(仮称)第4次基本構想の策定へ
○伝統とモダンがとけあい、未来に躍進するまち-彩りあふれる、希望の都心-
千代田区は、江戸開府以来、参勤交代や発達した水運により、多くの人々が江戸と諸藩を行き交うことにより、物資や情報などさまざまな資源が集約し、撹拌され、そこで生まれた新たな潮流が地方に伝播されることで、都市としての活力とダイナミズムを有しています。そして、明治、大正、昭和と、我が国における政治、経済、文化の中心として、先人たちはさまざまな変化と困難を乗り越えて歴史を重ね、日本の中心都市としての誇りをもって今の千代田を築き、現代の私たちに引き継いでくれました。
受け継いできた伝統は、先人たちが、新たな文化や価値を調和させながら発展させてきたものであり、変化への対応の歴史そのものであると認識しているところです。
私たちは、コロナ禍、ウクライナ危機や世界経済の減速など急激な変化に直面しています。私は、変化が激しく先行きの不透明な時代においても、先人から受け継いだ伝統をさらに発展させ、新しい時代に適応しながら、力強く躍進するまちを築いていきたいと考えております。そして、千代田に住み、働き、学び、集うすべての人々が輝き、彩りにあふれ、将来にわたって希望に満ちた魅力あふれるまちを目指したいと考えております。
こうした思いを込め、本区の将来像として「伝統とモダンがとけあい、未来に躍進するまち~彩りあふれる、希望の都心~」を基本構想に掲げるべく、今後、区民や議会の皆さまのご意見をお伺いしてまいります。
私は、区長就任後の初めての招集挨拶で、「コロナに打ち克ち 千代田の新時代を築く」ことを、区政運営に臨む基本姿勢として申し上げました。その後の長引くコロナとの闘いの中、私は、改めて「命」や「人のつながり」の大切さを認識し、アフターコロナの暮らしに豊かさや明るさを実感できる新時代を築くことの重要性を痛切に感じております。
将来像には、コロナ禍の経験を踏まえ、急速に変化する時代に柔軟かつ的確に対応し、基礎的な地方公共団体として、区民の命や健康を守ることを第一に、子ども、女性、高齢者、障害者など、すべての人が輝けるまちを実現したいという思いを込めております。
また、デジタル技術を駆使し、イノベーションを通じて気候変動や脱炭素、文化、防災、エネルギーなど、さまざまな分野における課題の解決に努めるとともに、区民、事業者、他自治体など、多様な主体との連携や協働を進めることによって新たな活力も創出しながら、アフターコロナの暮らしに、明るさと豊かさを実感できる千代田の新時代を築いてまいりたいと考えております。
<4>首都直下地震、新たな被害想定に際して災害対策の強化
先般、都の首都直下地震の被害想定が10年ぶりに見直され、公表されました。
具体的には、都全体では被害は軽減すると試算されており、本区の推計値についても死者数や建物被害件数、ライフラインの被害率などは大きく減じております。千代田区においては、これまで建築物の耐震化の促進や電線類の地中化、情報連絡網の整備などさまざまな施策を積極的に推進してきており、一定の減災効果に寄与してきたと認識しております。
一方、被害想定では新たな課題も見受けられます。帰宅困難者数については、都全体では約517万人から約453万人に減少する中、本区においては約50万人から約59万人に増加するなど、発災後の対応に関する課題が示されました。
また、生活への影響など時間の経過とともに変化する被害の様相や、応急復旧の進捗等をより具体的に描き出すシナリオなどから、区民や事業者、帰宅困難者の時間軸に沿った対応を検討していくことも指摘されております。
このため、区では、まず、都から示された新しい被害想定のさらなる内容確認や分析を早期に進めてまいります。また、地域特性から千代田区が抱える帰宅困難者対策については、不断の取り組みが必要であることから、帰宅困難者等一時受入場所の拡大や、平時からの場所の周知等を推進してまいります。さらに今後は、都が令和5年度早期に修正する東京都地域防災計画を見据え、関係機関との緊密な連携のもと、千代田区地域防災計画の見直しを検討してまいります。
<5>神田警察通り道路整備工事の再開
神田警察通りの道路整備工事について、4月25日から再開いたしました2期工事に対するこれまでの経緯と私の考えを、改めてご説明いたします。
当該工事は、令和3年第3回区議会定例会で工事契約議案のご議決をいだたき、契約締結後、工事に着手いたしました。その後、「神田警察通りの街路樹を守る会」の方々から街路樹の伐採をしないことを求める要望書の提出をはじめ、区議会に提出された陳情の審査があったほか、私も守る会の皆さまとお会いし、直接要望をお聞きしました。
これらの経緯を踏まえ、区では工事をいったん停止し、本年1月と3月に「神田警察通り沿道整備推進協議会」において、2回にわたり守る会と協議会の意見交換の機会を設け、伐採を含む道路整備工事に反対のご意見、賛成のご意見、さまざまいただきましたが、双方の意見が折り合うことはありませんでした。
さらに、議会の陳情審査の申し出を受け、本年4月9日には、神田っ子が胸襟を開いて意見交換を行う場を設けましたが、街路樹の取り扱いについて、お互いの一致点を見出すことはできませんでした。
一方、コロナ禍で中断を余儀なくされていた町会の総会等、地域の動きが再開する中で、私はさまざまなご意見を伺いました。子どもたちも、ベビーカーを押すパパ・ママも、お年寄りも、車いすを利用される方も、障害のある方も、そして、介護する方々も、自転車も安全で安心に通行できる道路にしてほしい。地域のシンボルとなるような道路整備で賑わいを取り戻してほしい。直接、そのようなご意見を多くお聞きいたしました。
樹木を守ることも、もちろん大切です。しかしその一方で、多くの皆様に協議会で検討を重ねていただく中で、「早期に工事を再開してほしい」という沢山の声があることも事実であります。そのため、お互いの一致点が見出せない状況が長く続けば、意見の対立を深め、地域に亀裂を生じさせることにもなりかねないと、強く認識するに至ったところです。
これらの状況を受け止め、今後の進め方につきましては、これまでの区議会でのご議論や多くのご意見を踏まえたうえで、計画に従って工事を続行することを、区として決断した次第であります。
今回の工事については、皆様にさまざまなお立場とご意見がある中で、約10年間、沿道のまちづくりの在り方とともに、検討を重ねて行き着いた、行政としての「苦渋の決定」であることを、ご理解いただければと思います。
区HP:「神田警察通り道路整備工事再開について」https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/machizukuri/toshi/kandakeisatsu-kojisaikai2.html