おはようございます。樋口高顕/ひぐちたかあきです。
電気街、サブカルチャー、メイドカフェなどが多く集積する秋葉原。近年では健全な営業形態の店舗に紛れ、風営法に抵触するような営業形態の店舗や、過激な衣装を着用した客引きが増加しています。
0.連帯と継続こそが問題解決への道
外神田・秋葉原の現状は、多くのメディアに取り上げられるなど極めて社会的反響も大きく、問題が深刻な状況であることは十分に認識されているところです。
しかし、区や都、また警察など関係機関による指導や取締りなどは重要な手段である一方で、そのことだけで問題を吹き飛ばしてしまうほどの強力な権限は与えられていないのも現実です。
我々の民主社会においてこうした問題を解決するには、それなりの時間がかかります。もどかしくはあっても、多様性と自主性を大切にしながら問題に取り組んでいくことが極めて重要です。
この問題の解決は、ひとえに、いろいろな立場の人や組織が幅広く連帯・連携し、まさに社会を挙げた取組みが実現できるかどうか、そしてまたそういった取組みを粘り強く継続していくことができるかどうかにかかっていると考えています。
こうした考えのもと動いた、区長就任およそ10カ月の取組みをご報告します。
1.外神田、関係機関の皆さまと重ねた意見交換
私は前職の都議会議員であった数年前から、地域の皆さまの声を受け、問題を認識。解決に向けて区へ強く働きかけてきました。
2021年2月、区長就任後は、抜本的に対策を強化すべく、改めて外神田・秋葉原の皆さんから直接お話を伺い、警察・消防など関係機関と意見交換を重ねました。
4月21日、コロナ禍、数ヶ月ぶりに千代田区と地域連携協議会アキバ21、地元町会、事業者、万世橋警察署が合同で、秋葉原における客引き抑止の月1パトロールを再開しました。
続く5月25日には、地元の約20団体・関係機関が一堂に会する初めての意見交換会を行いました。万世橋警察署、神田消防署、アキバ21、町会、商店街、小学校・幼稚園・PTA、防犯協会、青少年対策地区委員会、メイド系店舗連絡協議会、交通機関など、を実施し、それぞれのお立場からの多様な意見も、そして厳しいご指摘も頂きました。お互いを理解する場を作ることができました。
地元団体・関係機関との意見交換会
2.安全・安心と活力・賑わいのバランスが崩れている
5月29日、皆さまとの意見交換を経て、区としての方針をまとめました。
以下のように記者会見しました。
秋葉原は、江戸以来の町人地、明治以降は水運とともに鉄道など交通・物流の要衝、青物市場、戦後は電気街、アニメ・アイドルなどサブカルの聖地、世界でも注目されるAkibaなど、時代ごとに変容してきました。
そしてそもそも故郷として暮らす方々、幼稚園・小学校へ通う子どもたち、この地でご商売を続ける事業者の皆さん、そして多くの秋葉原を愛する皆さんがおられます。そうした中でこの街は絶妙なバランスを保ち、活力と賑わいを生み出してきました。
しかし昨今、コミュニティや賑わいの基盤である「街の安全・安心」を妨げる違法な状態が散見され、バランスが崩れてきたと認識しています。
今こそ、区や警察、消防と外神田の町会や学校・幼稚園、商店街や事業者などが重層・横断で連携・情報交換・対応していくことが必要です。
詳細は下記ブログをご覧ください。
3.AKIBA安全・安心プロジェクト発足
6月18日、AKIBA安全・安心プロジェクトが発足しました。合わせて、秋葉原の環境改善に向けた覚書を区と万世橋警察書で締結、ご来賓として警視庁本部から生活安全部長にご来賓としてご臨席頂きました。
発足式にあたり、下記のご挨拶を申し上げました。
現在の外神田・JR秋葉原駅周辺の地域は、交通の要衝として、また、青果市場のまち、電気街、さらには、サブカルチャーのまちとして、江戸期から令和の現代まで、それぞれの時代を反映しつつ、また様々な出来事を乗り越えて発展し続けてきました。現在、こちら「Akiba」は、様々な魅力が融合した独自の文化を持つまちとして世界的にも広く認知され、多くの人たちから愛されています。
そして何よりも、この地をふるさととして想い、生活の場として、また様々な変遷の中でご商売を続け、発展にご尽力されてきた方々。また、この地にある学校や幼稚園で学んでこられた方々、そして今、まさにこの地で学ぶ子どもたち。そうした皆さまのこの地を愛する想いと、その懐の深さによって、アキバは、どんな時代にあっても活気にあふれた、夢のある街として在り続けてきたのだと、私は思います。
そうした秋葉原を愛する皆さまの前向きな取り組みによって、時代ごとの変化を受け入れ、様々な出来事を乗り越えて、多種多様なまちの魅力と、安全・安心が、絶妙なバランスを保ちつつ発展を続けるまちとなっていました。
しかし昨今、サブカルチャーを装った違法な店舗経営や客引きが目に見えて増加し、街の安全・安心が著しく妨げられているということは、外神田を生活の場とする方々も、また秋葉原の独自の文化を愛する人たちも等しく感じているところではないでしょうか。
先月25日にお集まりいただいた意見交換会の場では、本日、ご出席いただいている秋葉原にお住まいの方々や地域団体アキバ21、事業関係者、学校関係者のほか、警察、消防などの行政機関の方々から様々なご意見をいただきました。それぞれのお立場から多様なご意見をいただきました。これまでの取組に、現状の在り様に、厳しいご指摘もご意見もいただきました。
そうした皆さまの声を受け止め、何としても「秋葉原の安全・安心を取り戻さなければ!」と、思いを新たに、強く決意した次第であります。
さて、本プロジェクトの目的は、秋葉原の環境を抜本的に改善し、安全・安心を取り戻すことであります。行政による規制は極めて重要な手段です。しかし規制することが目的ではありません。この秋葉原が健全で活力みなぎる街として、持続可能な形で大きく発展できますよう、本日ご参会の皆様が重層的、横断的に繋がり合い、日常的に、実のある情報を交換し合いながら、それぞれの立場で取組みを推進し、結果を出していこうというものであります。
コロナ禍における自粛や様々な制限など、直面する課題は山積しておりますが、どうか、ご参会の皆さまが、我々が、最強のネットワークを形成する、不退転のスクラムを組むことで、この愛するAKIBAに安全・安心を取り戻しましょう!
結びに、私自身、皆さまとともに最善を尽くすことをお約束いたしまして、開会の挨拶にかえさせていただきます。これから、どうかよろしくお願いいたします。
PJ発足式後、警視庁と官民合同パトロール
4.メイドカフェなど代表者や従業員(メイド)の研修・自主ルール
AKIBA安全・安心プロジェクトの発足と並行して、区は民間警備員の増強、生活環境改善指導員の配置、防犯カメラ増設など、各取り組みも鋭意進めています。
さて、外神田にはお住まいの方々もおられる一方で、秋葉原のメイドカフェやコンセプトカフェなどで事業を営み、あるいは働く方々もおられる訳であります。
立場は違っても、それぞれの立場で尊重し合いながら、ご一緒に取り組むことがより有効であり、メイドカフェなどの代表者や従業員(メイド)の皆さんに正しい知識を身に付けて頂き、透明性のある健全な営業を心掛けて頂くことが大切だと考えています。
そこで10月27日、「AKIBA安全・安心プロジェクト」として、今度は秋葉原のメイドカフェ・コンセプトカフェの店舗責任者・従業員を対象に違法営業等に対する研修会を万世橋警察署のご協力のもと実施しました。
また、メイドカフェ・コンセプトカフェ代表者で、店外での宣伝活動や、反社会勢力の排除、適正な料金設定、違反店舗発見時の関係機関の情報提供等を定めた、遵法営業に関する地元ルール「AKIBA安全・安心協定」を定めました。
客引き行為等の防止に関する
条例周知チラシを作成、配布しています
メイドカフェなどの店舗責任者・従業員を対象にした研修会
5.コンセプトショップ協会の立上げへ
12月15日、設立から半年が経過したAKIBA安全・安心プロジェクトの報告会を開催。報告会にて、以下のことを申し上げました。
本プロジェクトは「皆で秋葉原の安全・安心を取り戻す」との想いで本年6月、皆さまとともに設立し、半年が経過いたしました。プロジェクトの取組みには、3つの方向性があると考えております。
1つは、明確で強いメッセージを発信し続けること、
2つ目は、警察や区による取り締まりや指導、
そして3つ目は、関係事業者の意識改革です。まず1つは、本日ご参加いただいております皆さまをはじめ、秋葉原の街をあげて「秋葉原で客引きは許さない」「私たちが秋葉原に安全・安心を取り戻す」という、明確で強いメッセージを発信し続けていくことです。区といたしましても、毎月行われる合同パトロールなどを最大限支援するとともに、引き続き客引き行為撲滅に向けたあらゆる啓発活動を行ってまいります。
2つ目は、警察や区による悪徳店舗や悪質な客引き行為に対する摘発や指導取締りです。これは非常に効果も認められるところですけれども、時間の経過とともに再び増加に転じることから、区としましても、警察と、より連携を図りながら指導取締りを継続していくほか、来年には、いわゆる客引き防止条例について過料の規定を設ける一部改正の検討を重ねているところです。
そして最後の3つ目は、現在、最も力をいれております事業者に向けた働きかけ、事業者の皆さんの意識改革です。これが一番難しくも、しかし一番効果があると考えております。
この事業者の皆さんの意識改革については、秋葉原観光協会が中心となり、秋葉原にあるメイドカフェ、コンセプトショップへローラーで訪問、声をかけ、12月初旬には「秋葉原コンセプトショップ協会」の設立に向けた説明会が開催、来年には協会が設立されるとの報告がありました。
事業者や従業員(メイド)の皆さまには、地元ルール「AKIBA安全・安心協定」の遵守とともに、安全で安心して生活と仕事ができるまちづくりにご協力頂ければと思います。
報告会終了後は、今年最後の秋葉原地区官民合同パトロールも実施しました。年の瀬にも関わらず大変多くの皆さまにご参加頂きました。
本ブログの冒頭で、連帯と継続こそが問題解決への道、と申し上げましたように、多様性と自主性を大切に、いろいろな立場の人や組織が幅広く連帯・連携し、正に社会を挙げた取組みの粘り強い継続が重要と考え、プロジェクトを10ヶ月間、進めてきたわけですが、あらためてこれからの1年を考えますと先の3つの方向性のもと、進めていかねばならないと考えています。
来年も積極的かつ効果的に推進してまいります。
皆さまには今後ともご理解とご協力のほどお願い申し上げます。