こんにちは。樋口高顕/ひぐちたかあきです。
11月16日、令和4年第4回区議会定例会にて、招集挨拶を行いました。
招集挨拶では、下記4点を述べさせていただきました。
- 新型コロナ第8波に向けた対策
- クラウドで患者情報のデジタル化と一元化
- 物価高騰対策
- 子育て・教育応援給付金、1人5万円を支給
- 新たな基本構想の検討状況
- DXの進捗
以下、抜粋してお伝えします。なお、当日の様子はインターネット配信もされており、こちらにて招集挨拶を全文掲載しております。あわせてご覧ください。
<1>新型コロナ第8波に向けた対策
これから冬場を迎えるに当たって、年末年始のイベントなども重なることから、新型コロナウイルスの第8波と季節性インフルエンザの流行のツインデミックが懸念され、より一層の感染症対策を講じていかなければなりません。
そのためには、引き続き「換気と手洗いの徹底」、「会話時のマスク」、「有症状時に外出を控えること」など、基本的な感染防止対策を継続していただくことや、早期のワクチン接種など、重症化リスクの高い高齢者や、基礎疾患のある方などにターゲットを絞って備えていくことが必要です。
また、国は10月21日より、12歳以上の新型コロナウイルスワクチンの接種間隔を、現行の5か月から3か月に短縮しました。
これに伴う接種対象者の増加に対応すべく、区は、各集団接種会場の接種枠を大幅に増やすとともに、三楽病院では、午後5時以降の時間帯の接種枠を設けました。
また、東京逓信病院では、希望する区民に対して、新型コロナウイルスとインフルエンザ、両方のワクチンを速やかに接種できるようにするなど、区民がより接種を受けやすい環境の整備に努めています。
他方で、インフルエンザについては、重症化リスクのある方などは特に、インフルエンザワクチンの接種が必要だと言われています。
そこで今年度も、65歳以上の定期接種対象者の方に加え、特別対策として、60歳以上65歳未満や妊娠中など、重症化リスクの高い方を対象に、去る10月1日から、インフルエンザワクチンの無料接種を実施しています。
ところで、この3年近くにおよぶ感染症対策により、私たちはさまざまな知見と経験を積み重ね、都度、懸命に対応を図ってきました。
この間、患者調査の重点化により、重症化リスクのある患者に速やかに対応し、入院が必要な患者にいち早く病床を確保するなど、これまで以上に迅速で、適切な医療へと繋ぐ体制を整えました。
また、第8波に備え、クラウドサービスを用いた患者情報管理システムを導入して患者情報のデジタル化と一元化を図り、問い合わせを受けた際にも、これまでのように紙カルテを一枚一枚探すことなく、療養方針や対応履歴などの情報を即時に把握できるようになりました。
これにより、適時的確な対応を実現し、万が一、感染した場合でも、区民の皆様がより安心できる体制を構築しました。
今後も、区内医師会や医療機関など関係機関と連携しつつ、区民の命と健康を守るため、引き続き、感染症対策に全力で取り組みを進めてまいります。
<2>物価高騰対策
第三回区議会定例会において、食料品、特に生鮮食品の物価高騰が顕著になってきたことを考慮し、区立小・中・中等教育学校における学校給食費の一部を追加で補助するため、また、物価高騰の影響が特に大きい住民税非課税世帯を緊急支援するための補正予算案を、全会一致でご議決賜りました。改めて御礼申し上げます。
閉会後も、物価の状況を注視していますが、依然として高騰が収まる状況には至っていません。
こうした状況を受け、第三回区議会定例会の決算審査における物価高騰対策に関する質疑において、私は「機を逸することなく、今年度中に」と答弁しました。
その後、区議会から子育て世帯への物価高騰に対する支援への要望書を頂戴し、庁内において議論を重ねた結果、さまざまな物価が高騰している現状に鑑み、子育て世帯の経済的負担を軽減するための経費について、追加の予算を計上する補正予算案を、今定例会に提出することとしました。
具体的な内容としては、18歳以下の子どもを持つすべての保護者に対して、子ども1人あたり5万円を給付します。
一口に子育て世帯と言っても、子どもの年齢や性別、人数などが異なりますし、通学・通園先が公立か私立か、子どもが何に興味があるか、何を目指しているか、あるいは親として子どもに何を身に付けてほしいと考えているかなど、ご家庭における子育てや教育の環境は千差万別です。
こうした中で、さまざまな出費が増している子育て世帯が、物価高騰の下でも、それぞれに異なる子育てや教育の環境を、これまでと同様に維持できるよう、等しく支援してまいります。
なお、補正予算案には、各区立施設や指定管理施設において当初予算額では不足が見込まれる光熱費や、これに相当する経費、また、物価高騰の下でもサービスの質を維持できるよう、高齢者への地域密着型サービス事業所や障害福祉サービス事業所に対する緊急支援金なども計上しています。
<3>新たな基本構想の検討状況
去る11月11日、区民と学識経験者で構成する基本構想懇談会から、新たな基本構想のたたき台に対する提言書を頂戴しました。懇談会では、本年7月から足掛け5か月、6回にわたり活発なご議論をいただき、提言書を取りまとめていただいたところです。
また、区議会の皆様には、2度の連合審査会において説明の機会を頂戴し、貴重なご意見を多数賜りました。
新たな基本構想の策定に向けては、これまで、無作為抽出による区民アンケート、区立学校の児童・生徒を対象としたアンケートをはじめ、パブリックコメントの手法を参考にした意見公募、20以上の各種団体関係者のヒアリングを実施し、直接お話をお伺いするなど、多くの方々から多様なご意見をいただけるよう努めてきました。
私どもは、この度頂戴した懇談会の提言および区議会の皆様のご意見を、しっかりと受け止めるとともに、アンケートやヒアリングでいただいたお声なども踏まえ、鋭意、基本構想のたたき台の修正作業を進めているところです。
こうして皆様と練り上げてきた基本構想については、近く素案をお示しし、パブリックコメントを実施するとともに、並行して説明会を開催し、これまでの議論や頂戴したご意見を踏まえて丁寧に説明してまいります。
令和5年第一回区議会定例会においてご審議いただけるよう、引き続き準備を進めますので、よろしくお願い申し上げます。
<4>DXの進捗
令和4年度の予算編成にあたりましては、「千代田区DX」を区として取り組む重要施策の一つとして掲げ、さらに本年4月には、「千代田区DX戦略~だれもが幸せな社会の実現に向けて~」を策定しました。
この戦略では、「顧客志向の追求」、「行政内部の変革」、「情報資産の管理と運用」を基本理念として、「区民は、いつでも、どこでも、だれもが、自分にあった方法を選択して、サービスを受けることができる」、「職員は、自分の働き方をデザインすることができ、いつでも、どこでも、ムダなく、コラボして仕事できる」、「確かな安全のもと、効果的にデジタル技術と情報が活用されている」という将来像を示し、その上で、千代田区DXのコンセプトとして、4点を掲げています。
改めてコンセプトをご説明いたしますと、第一は、「区民が選択できる」です。
区が考えるDXは、すべてをデジタルに転換してしまうというものではありません。対面を基本とするリアルな窓口、オンラインでの受付など、さまざまな方法を用意し、リアルとデジタルを区民の皆様が選択できるようにすることによって、限られた資源の中で、多様なニーズに応えていこうというものです。
そのためには、デジタルを使いたいけれど苦手な方、いわゆる「デジタル弱者」と言われる方たちが取り残されることのないよう、丁寧に進めることも必要です。
第二に、区民一人ひとりを個でとらえたサービス、いわば「自治体版CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)」の実現です。
これは、行政サービスを提供する区側の視点ではなく、サービスを受ける個々の区民側の視点で、対象となるサービスや必要な手続きを集約し、区民一人ひとりに合った情報をご案内したり、過去の申請情報や基礎情報により手続きを簡略化したり、さらには、組織間の情報共有により新たなサービスを創出するものです。
そのための一つの手段として、区民一人ひとりと区の、コミュニケーション機能を一つに集約し、結節点としての役割を果たす、区独自のポータルサイトの構築に着手しており、次年度以降、子育て関係の手続きから運用を開始する予定です。
第三は、「デジタルワークフロー」の実現です。
区役所のすべての業務において、デジタルを基点とするワークフローを確立することにより、区民の利便性の向上と業務の効率化の両立を図り、高品質な区民サービスを継続して提供することができるようにします。
最後は、「温もりのあるサービス『Face to Face』」です。
先ほども申し上げたとおり、すべての手続きをデジタルだけにしてしまうのではなく、Face to Face、いわゆる対面のサービスも引き続き継続していくとともに、デジタル化にあたっても、「一人ひとりに寄り添った、温もりのあるサービス」を提供します。
こうしたコンセプトのもと、オンライン手続きガイドの運用をはじめ、国のぴったりサービスなどによる申請のオンライン化やキャッシュレス決済によるオンライン納付の導入など、来庁しなくてもサービスを受けることができる、いわば「会いに行く(区の方から出向いていく)窓口」を推進するとともに、対面の手続きを希望する方々も、デジタル化の恩恵を受けられるよう、マイナンバーカードを活用した申請書への自動入力などによる、「待たせない・書かせない・出させない『スマート窓口』」を併せて推進していきます。また、高齢者を対象としたスマホ教室など、デジタル機器を苦手とする方への支援も引き続き実施していきます。
区は、最も身近な基礎的自治体として、区民の皆様の「Well-being」、すなわち「区民の皆様が幸福ですべてにおいて満たされた状態になること」を第一に考え、都心におけるより一層の快適な暮らしの実現に向けて、今後も、これまでの取り組みを拡大しながら新たな取り組みにも着手するなど、一歩一歩着実に千代田区DXを進め、デジタル社会に対応した区政のアップデートを図ってまいります。