【2020年、テレワーク導入35%をめざす!】東京都の目標値。2016年度は13.3%。本気で変える!その意気込みが。

東京都の目標値。2016年度は13.3%。本気で変える!その意気込みが。今までの企業で働く人の、そして行政の常識を変えるべきだと考えています。過敏ともいえる日本らしいチームワーク意識、長く働くこと、何かと職場にいること、そういった常識を変えていかなければなりません。働き方改革での生産性だけではなく、テレワークは参加率を上げて、育児や介護など制約のある方が安心して働けるようになることも大切な観点。また、移動、通勤時間の短縮など負担軽減、職場条件の改善が明確。導入への課題は労務管理の難しさ、プライバシー侵害、知財、顧客情報などの情報漏えい、または導入コストなど。あるいは建設業、製造業など業種、職種でも異なります。

2018年3月19日、産業労働局への質疑です。(前回の記事はこちら

○ひぐち:昨年、事務事業質疑にて、テレワークについて伺いました。米国では、既に約九割の企業でテレワークが導入されている一方で、日本のテレワーク導入企業率は、平成二十八年度、一三・三%です。そうした中で、都は今回、二〇二〇年度には、従業員三十人以上の企業におけるテレワーク導入率を三五%とする目標を出しています。こうした大変意欲的な数値制定を私は率直に評価したいと思います。

しかし、昨年も述べましたが、一般的にテレワークは、営業など外回りが多い業種と、生産現場や接客サービスなどが中心の業種では、導入に向けた課題や手法が異なります。高い目標を達成するためには、業種ごとの実情を踏まえながら、製造業や建設業など導入が難しいと思われる業種にも効果的に支援していくべきであります。都は今年度、モデル実証事業を実施しており、今後、その効果や課題を把握するとしていますが、まず、今年度の取り組み状況を伺います。

○小金井雇用就業部長:今年度、製造業や卸売業など七業種十九社に対してモデル実証を行い、その効果や課題を検証する事業を実施しました。参加した企業は、従業員が十一人といった小規模企業から九百四十四人の中堅企業までと幅広くなっており、実際に在宅勤務やサテライトオフィスなどのテレワークを二、三カ月にわたり行いました。そのうち、終日在宅勤務については全ての業種において利用が多かった一方で、営業や販売などの職種ではサテライトオフィスやモバイルワークに取り組む例が多いなど、職種によっての特徴が見られました。また、従業員からは、テレワーク導入のためには、ペーパーレス化や社内手続の簡素化が課題であるとの意見が多くありました。本事業の結果については、現在、詳細な分析を行っているところであり、来年度早々に公表を行う予定としております。

○ひぐち:ありがとうございます。モデル実証事業を通して、現状わかっている特徴や課題について答弁いただきました。さて、テレワーク導入率三五%の達成には、そもそもテレワークの有効性の周知が必要であります。総務省の通信利用状況の調査によると、企業がテレワークを導入しない理由は、テレワークに適した業務がわからないが七四・二%でトップでありました。今後、詳細な分析をもとに、テレワーク導入によって課題解決できた事例を、同じ経営課題を抱えている同業種に周知することは効果的です。テレワークのさらなる拡大に向けて、その結果をどう具体的に生かしていくか、所見を伺います。

○小金井雇用就業部長:来年度は、製造業、卸小売業、建設業の三業種を対象に、業種ごとに特化したテレワークの導入事例や効果的な運用ポイントなど、具体的な企業現場での活用を想定した業種別ハンドブックを作成することとしており、自社でもテレワークができるということに気づいてもらい、企業の導入意欲を向上させていきます。

また、都内各地で実施しているテレワーク体験セミナーの開催規模を拡充し、ハンドブックを活用したセミナーを業界団体とも連携して新たに開催することで、テレワークを普及させてまいります。

○ひぐち:モデル実証事業を踏まえ、三十年度は明確に三業種、一般的に導入が難しいと思われる製造業、建設業などのハンドブックを作成、また、業界団体とも連携したセミナーを開催する予定との答弁でありました。大変積極的な取り組みであると思います。

では、導入時に抱えるさまざまな課題、不安を解決していく際に、まずはハンドブックやセミナーは入り口としてはよいかと思いますが、それだけで実際に導入まで至るのは難しそうです。実際によく挙がる課題としては、労務管理の難しさ、プライバシー侵害、知財、顧客情報などの情報漏えい、または導入コストなどがあります。そこで、来年度は、本年度設置されたテレワーク推進センターにとどまらず、都みずから、直接、企業のテレワーク導入支援に取り組んでいくとのことですが、まずは、テレワーク推進センターの例えば来場者数など、実績、成果を伺います。また、都は、企業に専門家を派遣する事業を実施するとしていますが、果たしてコンサルティングが有効なのか、テレワーク導入を加速していけるのか、その実効性を伺います。

小金井雇用就業部長:東京テレワーク推進センターには、大企業の人事担当者から小規模企業の経営者まで幅広い層の方が来られており、二月末までの来場者数は三千二百五十五人でございました。来年度から開始するコンサルティング事業でございますが、テレワーク導入を目指す中小、中堅企業二百五十社を公募し、民間委託により実施するものでございます。派遣するコンサルタントは、人事、ICT、業務改革等の知識を有する専門家がチームを組み、テレワーク導入の前提として必要となる業務プロセスの見直しやペーパーレス化など具体的な改善策を提案いたします。テレワーク導入に当たっては、業種や職種によって課題がさまざまであることから、企業の実情に応じた専門家を派遣することで、その実効性を高めてまいります。

ひぐち:企業の実情に応じて、それぞれの専門家がチームとなって、テレワークというツール、システム導入にとどまらず、業務プロセスの見直しまで含めた具体的な改善に取り組んでいくとのことです。

そもそも、働き方改革での生産性とともに、テレワークは、参加率を上げて、育児や介護など制約のある方が安心して働けるようになることも大切な観点であります。また、移動、通勤時間の短縮など負担軽減、職場条件の改善が明確であります。私は、先日も申し上げましたが、今までの企業で働く人の、そして行政の常識を変えるべきだと考えています。過敏ともいえる日本らしいチームワーク意識、長く働くこと、何かと職場にいること、そういった常識を変えていかなければなりません。

改めて申し上げますが、数値目標を掲げたことは大変すばらしいのですが、直接的な導入支援まで行っていくに当たり、数値目標の裏にある目的を再度ご認識いただきたいと思います。つまり、あくまで働き方改革やテレワークは、企業の生産性向上や働く人一人一人の幸せ、生きがいを実現するための手段であり、目的ではない点を、民間委託先とも認識を合わせながら鋭意取り組んでいただくことを求めます。やはりワンストップサービスと専門チームによる個別、出前型の支援がキーワードだと思います。今回取り上げた事業での積極的な姿勢を私は評価しております。ぜひとも都には、三十年度予算、これら事業に精力的に取り組んでいただき、目標値やそもそもの目的を達成するよう要望いたしまして、質疑を終えさせていただきます。

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